2019年10月の消費税増税、追い打ちをかけるように新型コロナウィルスCOVID-19の世界的蔓延による経済の停滞により、さらなる大不況になっていくのは避けられません。
この不況による解雇や退職勧奨の通告を受けた際、対処法を誤ってしまうと以下のような残念な結果が待っています。
- 会社に言われるがままに、不本意に退職合意書にサインをさせられる。
- 本来は交渉の余地があった、特別退職金を得られない。
このように、その後路頭に迷うことになってしまいますので、細心の注意を払って対処することが必要です。 今後、急増が予想される、解雇や退職勧奨を受けた際の正しい初期対応方法をご説明します。事前に知っておくべき重要な3つのポイントがあります。
私はこれまで4回も退職勧奨を受けたことがあり、どれも会社都合での退職でしたが、交渉によりそれぞれ60万円、75万円、210万円、180万円の特別退職金を得て退職勧奨に応じた経験があります。
解雇・退職勧奨の対処法【重要な3ポイント】
①会社とのやり取りは全て録音する
会社側とのやり取りは全てスマホやICレコーダーで録音しましょう。内容も知らされず打ち合わせに呼ばれて、いざ話が始まったら解雇・退職勧奨の内容だった、という場合でも、何か理由をつけて一度退席し、録音の準備をしてから再度会議に臨みましょう。
理由:会社側が言ってくる内容を全て証拠として残すためです。相手側の要求や状況の整理のための資料にもなりますし、そのあと交渉を進める際の重要な情報となります。
②通達をされた場で合意やサインは絶対にしない
会社側が解雇・退職勧奨をしてきたその会議の中で、絶対に合意もサインもしてはいけません。会社側は今回の解雇あるいは退職勧奨の事実、理由や背景を説明してくるはずです。このような通達を受けることに慣れていない従業員は、会議の雰囲気に飲まれてしまい、会社側の要求に対し「分かりました」と合意したり、退職合意書にサインしてしまうケースが多々あります。これは絶対にしてはいけません。
理由:そもそも退職勧奨は断ることができますし、現在の日本の法律では従業員による重大な違反(横領等)がない限り、一方的な解雇はできないので、その場ですぐに合意する必要は全くないからです。
とにかく通達された日は会社側の要求を聞くことに徹するのみで、その場であなたの意志は示さないこと。この要求に対し、どのように対応するかは、会議の録音データや提示された書類を元に、企業側の要求や状況を整理し判断すべきです。通達されたその会議の中ではあなたの回答は出さず、「突然言われて困惑しています。考えさせてください。」とだけ伝えてその会議を終えられるようにします。会議後は業務に戻り、終業後に家族や信頼できる人に相談しましょう。できれば弁護士やキャリアコンサルタントなどの専門知識を持った人に相談するのがベストです。
③通達を受けたあとも、いつも通り勤務する
通達を受けたあとも、いつもと変わらず勤務を続けてください。会社側がそのような解雇・退職勧奨を言い渡す際は社員に対し、これ以降、または翌日以降勤務しなくて良い、と伝えてくることがあります。しかし、それに従ってはいけません。その会議が終わった後は、何事もなかったかのように自席に戻り、今まで通り業務にあたってください。翌日以降も勿論同じです。
理由:あなたはまだ解雇・退職勧奨に応じたわけではないので、解雇も退職することも決まっていません。そのため、昨日までのあなたと同じように出勤し、勤務し続けるべきなのです。
ここでのあなたの対応が、のちの会社側との交渉に影響します。会社の言うように、あなたが出勤を止めてしまった場合、会社側はあなたが会社の要求に応じたとみなします。要求通り、帰宅したり欠勤したりしてはいけません。
私の体験とクライアントの事例
私が過去に受けた退職勧奨やクライアントの事例をご紹介したいと思います。
私はこれまで外資系企業で働いてきており、過去4回、会社側から退職勧奨を受けた経験があります。外資系企業ではこのような退職勧奨は度々起こることなのですが、その都度、私は企業側と交渉し60万円から最大で200万円強の退職金を得てきました。私も初めてのときは、動揺するばかりで会社側のペースで退職までことが進んでしまいましたが、経験を重ねることで、冷静にこちらのペースで交渉することができるようになり、結果としてパッケージと言われる特別退職金の額も多く得られるようになりました。
また、私のクライアントの女性の事例ですが、その方はある日突然、退職勧奨を受けました。あまりに突然のことであったのと、その方にとって初めての退職勧奨であったため、対処法が分からず困っている状況でした。その会社は、一方的な解雇を宣告してきており、まるで交渉の余地がないような態度ということでした。しかし現在、日本の法律では、重大な違反行為がない限り一方的な解雇はできないようになっています。ただ、実際にはこのような違法なやり方で労働者を追い詰める会社は少なくありません。そこで、まず証拠として残すために会社側とのやり取りを録音し、要求を書面にて提示させて状況を整理しました。その上で一緒に適切な対応を準備しました。その結果、解雇ではなく退職勧奨であることを合意させ、半年分の給与を保証させて退職することができました。
このように正しい対処方法を知っていれば、ただ会社のペースに巻き込まれるのではなく、自身のペースで冷静に交渉を進めることができるのです。
まとめ
以上が解雇・退職勧奨を受けた際の、初期対応の重要なポイントになります。
まとめますと下記の通り。
- 会社とのやり取りは全て録音すること
- 通達をされた場で合意やサインは絶対にしない
- 通達を受けたあとも、いつも通り勤務する
尚、このような解雇通告や退職勧奨を受けてしまった場合は、あなたのゴールをどこに設定するかによって、今回ご説明した初期対応以降の対応策が変わってきます。何としてでも会社に残りたいのか、退職勧奨に応じる替わりにパッケージと言われる特別退職金を例えば100万円得たいか、によってその後の動き方・会社との適切な話し方があります。
また、会社の規模や、それぞれ通達を受けた方の状況は異なりますので、今現在、解雇や退職勧奨を受けて困っている方や、事前に準備をしておきたいとお考えの方は、初回60分無料のキャリアコンサルティングサービスまでお気軽にお問合せください。